オーディオ機器価格暴騰時代の妄想


今回はちょっと趣向を変えてライトな完全妄想記事を書いていきたい。我ながらどう見てもツッコミどころ満載なので恥ずかしくもあるが、ステップアップ先の見えない現状へのガス抜きがてら広い心でご笑覧いただきたい

※2024.6.1追記 この記事を書いた後に実際にどの程度価格が高騰したのか、ハイエンドDACを例にとり調査した結果を記事に纏めたのでこちらも併せてご覧いただきたい。

目次

下取り価格設定のドラスティックな変更策

ここ数年、円安や部品高に伴うオーディオ機器の値上げや、新製品の相場感の上昇が常態化しており、近い将来に改善の見込みもない。それどころかより悪化の可能性の方が高い様に見える。

そんな現在、穴の多い素人の妄想になるが、オーディオ機器の中古品の下取り価格と販売価格を業界全体でドラスティックに見直すのもアリではないか?というのがこの記事の主題だ。

最初にどう見直すのかというアイデアから書くと、中古品の下取り価格は「現在もしくは終売時の」新品価格の6割、中古販売価格は7割を基準としてはどうだろうか?(そこから需要や状態による減額を入れる)

昔から新製品購入の際は手持ちの旧製品を下取りに出してその購入費に充てるケースが一般的だと思う。だが、現在でそれをやろうとしても、新製品の相場感は旧製品が出た時の1.5倍かそれ以上になっているのに、旧製品の中古下取り価格はその機器の「初期の」価格の半額かそれ以下に据え置かれているため、新製品の購入価格と旧製品の下取り価格の乖離が激しすぎで下取りが大した足しにもならなくなっている。その結果、新製品を購入するには大きな追い銭が必要となり、購入出来る人は本当に限られた富裕層だけなってしまっているのが現状だと認識している。

この様に、新製品の価格の急騰による新旧相場感の断絶に耐えられない富裕層以外の人々が新製品の世代のオーディオから振り落とされてしまっている。このままでは買い換えや新製品購入数が激減し、中古品の弾数が激減し、市場の流動性が無くなり硬直化してしまう恐れが大きくある。というか、巷のショップに出てくる中古品を見ているともはや既にそうなってきていると言ってもいいのではないか。

なので、その状況を少しでも改善する施策として、先に挙げた様に旧製品の下取り価格を現在の新製品の相場感に近づけることで新製品を購入し易くするのだ。

この施策をハイエンドからエントリーまで例外なく施せば、見た目の中古価格はグッと上がるが、新製品購入時の追い銭は少なくなるケースが多くなり、その分新製品が売れ易くなり、旧製品の中古の弾数も多くなり、今後出る新製品の中古の弾数も増えて市場の流動性が上がると思うのだがどうだろうか?

このアイデアのミソは、この設定はショップでの新製品購入時の下取り価格に限るということ。超円安の昨今、日本にある中古オーディオ機器がオークションでバンバン代行業者に買われてガンガン海外に流出してしまっている。これは日本のオーディオ界全体の資産の減少を意味し、由々しき問題だと感じているオーディオ民も多いだろう。

その問題にもこの施策は効果がある。この施策に従って下取りに限り価格を高めに設定すれば、今までオークションに売っていた人がショップに持ち込み下取りに出して新製品も購入するだろうし、中古の弾が入るのがショップであれば海外への流出もオークションより遥かに阻止し易い。

この施策はいわば業界全体を挙げた価格コントロールと鎖国の様なイメージになる

正直今の新製品の相場感と少し前の旧製品の下取り価格とを比べてしまうと、それなりの追い銭を積んでも、新製品の音質のグレード感からすれば下手すると今まで使っていた旧製品より下のグレードのものしか買えないので、馬鹿らしくて買い替えする気持ちも萎えてしまう…こんな心情の人も多いのではないだろうか?

業界は現状でも問題なく新製品を購入してくれる一部の富裕層にシフトしてもなんとかなると考えているのかもしれないが、何かしらアクションを起こして富裕層以外にもいくらかの希望を見せて欲しいというのがただの一般人である自分の願いである。

ざっと考えるこのアイデアの穴は

  • 一律に下取り価格と中古価格を設定する事により、一部の製品で需給バランスが取れず中古が積み上がる可能性がある
  • 完全新規参入の人が最終価格が高騰した新しめの中古を買いにくくなる
  • 下取りを選択しない人(引退等)からヘイトを買う

あたりだが、これらのリスクより市場の流動性が上がるメリットの方が大きいと思うがどうだろうか。

この記事を書くきっかけ

最後に、この記事の内容を考えるきっかけとなった事象についてネタばらしをする。それはアキュフェーズ製品の異常な中古価格だ。アキュフェーズだけ他のメーカーよりも中古価格(=下取り価格)がざっくり2割以上は高い様に見える。これってさすがに変じゃない?というのが出発点だ。

もちろん需要があるのだろうが、いくらなんでもアキュだけここまでダントツで需要があるとは信じがたい。実際に聴いてもそこまで抜けて価格対性能比が良いとも思えないし、巷でまことしやかに言われるほど日本人の感性に合致している音質だとも思わない。

確かに昔からオーディオ雑誌のリファレンス機器はアキュが定番で、評論家の方々も口々に「アキュはリファレンス性が高い」と長年宣伝してこられたという歴史があり、その洗脳宣伝効果はひと昔前はかなりあったかもしれない。だが、今はもう令和である。もはやオーディオ雑誌を読んでいる人は少数派で、私より若い人はほぼネットか口コミか試聴で決めている。そういった紙媒体での宣伝効果はもはやかなり少なくなっている。それでもなお未だにアキュアキュアキュが継続しているのだ。

とにかく異常としか思えない。

これは実は逆なのではないか?つまり中古価格が下がらないからアキュを購入しているのではないか?「アキュは需要があるからリセールが良い」という図式が、いつしか「アキュはリセールが良いから需要がある」という図式に化けているのではないか?マネーリテラシーが高くリスクヘッジに長けた私より若い世代でもアキュに飛びつくのは、この図式が効いているのではないか。

このままだと10年後には新しめの中古製品はアキュしかなくなるのではないか?という半ば冗談でもなさそうな未来を予想してこの記事を書き始めた。それなら他のメーカーの製品もアキュと同程度のリセールバリューに設定してやれば何か変わるのでは?というのがこの記事である。

まあ素人の妄想なのでこのアイデアが実際に施行されるわけがないのだが、でも何か変えて行かないと待つのは黄金の箱に埋め尽くされたショップの光景だと思うのだが、いかがだろうか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

主にオーディオについて感じた事を書いています。
古いクラシックがメインですが、新旧ジャンル問わず音楽を楽しむスタイルです。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • アキュフェーズはさながらオーディオ界のロレックス的位置付けになっているようですね。
    有名老舗メーカーで、それなりに高性能で、それなりに高価だけど裕福層でなくても手の届く価格で、壊れにくくて、アフターサポートが盤石、といった条件がどちらも揃ってますね。
    そして売り手側はリセールバリューの高さをセールストークとし、買い手側(特に将来的にアップグレードを見込んでいる人)はそれを理由に選択しやすくなり、相乗効果で中古相場が高く維持されるのでしょうね。

    • Lさんコメントありがとうございます。
      まさにおっしゃる通りだと思います。
      X(Twitter)でのこの記事の反応でもちらほら見ましたが、リセールを抜きにした場合のアキュのストロングポイントはアフターサポートなんでしょうね。
      なので今回の記事での施策を本気で考えるなら、修理をはじめとするサポートがキモになるのだなと感じています。

コメントする

目次