Roon build upおじさんの記録 (build1353)

PC用音楽再生ソフトRoon2.0の新buildであるbuild1353が公開されたのでその音質について記す。
いつも通りあっさり纏めたかったが、Roon自体が従来から大きな機能変更をしたこともあり、音質の傾向もこれまでとは少なからず変わっていたため、自分の中での認識を確定させるのに時間がかかってしまった。

目次

まえがき 「Roon build upおじさんの記録」について

この「Roon build upおじさんの記録」は昨年あたりから継続してRoonの新buildが出る度にその音質についての雑感をtwitter(現X)でツイートしているものでそこそこの長期企画になっている。今後はブログで公開していきたいと考えており、今回がその最初の投稿になる。
なお、この企画で取り扱う音質差は一定以上のシステムレベルで感知可能な領域を前提としており、広く一般の方々に同じ印象を保証するものではないことを悪しからずご了承いただきたい。
とはいえ、個人的には重箱の隅をつつくイヤキチレベルの音質差ではなく、一定以上の熱意のあるオーディオ民諸氏ならこだわるべき領域のものとご共感いただけると確信している

なお、build upおじさんは現状Roon2.0 build1259をリファレンスとしている。

build1353での仕様の変更

前述の通り今回のRoon2.0 build1353では大きな仕様の変更があった

今まで(build1324まで)はRoonを起動すると2つのプロセスのみ起動されたが、build1353では5つのプロセスが起動される様になった。

Roon2.0 build1353での起動プロセスの変更について

~buid1324での起動プロセス

  • Roon
  • RAATServer

build1353での起動プロセス

  • Roon
  • RAATServer
  • RoonAppliance
  • RoonServer
  • processreaper.exe

特に変化が大きいのがRoonServerの扱いで、build1353では(今後も継続なので「からは」という表現が適当)RoonServerのプロセスを落とすと音が出なくなる。

逆にRoonのプロセスを落としてもそのまま音は出続ける仕様に変更された。もちろんその場合選曲等のコントロールは出来ないため実用的ではない。因みにRoonプロセスを落とすと若干音質が良くなる。

この仕様変更が音質に複雑に絡み合っていて、今回は把握するのが大変だった。

まとめ

今回は単純な比較だけでなく色々と試したのだが、いつも通り結論から書く。色々試した時のメモは時系列で後の項にまとめる。ご興味のある方はそちらもご覧ください。

個人的なリファレンスであるbuild1259と今回のbuild1353の音質比較を下記にまとめる。

build1259→1353音質の比較

Pros

  • 見通しが良くなる
  • 音場の前後感がよく出て立体的
  • 音圧感が高くなる。特に低域
  • 鮮度感が高くなる
  • 音像の芯が明瞭になる
  • 立ち上がりが早くなる

Cons

  • ノイズ感が多くなる
  • 帯域バランスで中低域がスリムになる
  • 音像の厚みが減る
  • 音像の内部の描写の丁寧さ(情報量)が減る
  • 音像の質量感が下がる

※RTX-3090デュアルグラボ使用時

今回は仕様だけでなく音質面でも今までのbuild up時の変化とは異なっていた。build1353の音質で最初に感じたのが「グラボが効かないソフト」と似た様な音質傾向だなということ。とはいえ単純にそれだけでもなさそう。ということでグラボの数を変えたり、種類を変えたりと色々と検証した。

数々の検証の結果、現状ではグラボの効果がこれまでよりも低減されており、かつbuild1353が示す新仕様のroonの音質傾向とグラボによる効果は方向性が合わないという結論に至った。

具体的に言うと、今回のbuild1353の音質はノイズが少ないことで良化する項目群に長所があり、逆に厚み・質量感・音数・情報量といったグラボの効果で良化する項目群はあまり感じ取りにくい。従って、グラボを使うことによる音質的メリットが出にくく、グラボを使うことによるノイズの増加というデメリットの方が大きく効いてしまう傾向にある。だからといって全くグラボが効かなくなった訳ではなく、やはりグラボを入れることのメリットは依然としてある程度存在する。

以上のことから総合して、現状の私の感触としては新仕様のRoonではデュアルではなくシングルグラボが総合的にベターな選択になるのではないかと感じている。

今後のbuildもこういう観点から色々と検証を進めて行きたい。

2023.11.19

build1259からbuiid1353に初めてbuild upを実施。

build1353を試す

音場の前後感が結構向上する。
見事に立体的になる
ノイズっぽい
音像が薄っぺらくなる
なんだかこの音の傾向はグラボが効いてない気がする

プロセスを弄ってみる

RoonServerのプロセスを落とすと音が消える
Roonのプロセスを落としても音楽は鳴り続ける。グラボの恩恵が消える?
→消えたわけではない。Roonプロセスを落としたノイズ低減により若干の音質向上がある感じ

グラボをRTX 3090シングルライザーに変更する

(RTX 3090デュアルライザーと比較して)
こちらの方がノイズ感が少なくなって良い
もしかしてグラボ効いていないのか?
Roon build upおじさんやり始めてここまで混迷するのは初めて

グラボをRTX 3090デュアルライザーに戻す

やはりグラボは効いているのか?
ちょっと分からなくなってきた…

Remote: build1259 + Core: build1353

build1259に戻そうとして上書きインストールをするとこの状態になってしまった。(画像は1324の時のもの。この後1259にした)
どうもデータベースが関係しているよう。

(build1353と比較して)
ノイズっぽさがなぜか減る
両方のbuildの良いとこ取り?なかなかバランスが良いかも。
ただこのイレギュラー状態継続は精神衛生上よろしくないので止める。

build1259に戻す

(build1353と比較して)
音像の立体感・質量感・厚み・説得力が出る
音場の前後感や見通しは減退しやや野暮ったくなる
やはりbuild1259は音数が増えて情報が濃厚。グラボが良く効いている。特にオケものは良く分かりやすい。
情報がリッチで個人的に好み
やはり先ほどまでの1353はいつもよりあっさりしていた
その代わり見通しが凄く良くなっていた

結論は出ていないが夜遅いし疲れたので寝る

2023.11.20

検証を引き続き行う。
昨日は混迷してきたので、既知build1259の設定についても振り返って確認する

build1259で検証

グラボをRTX 3090デュアルライザーからシングルライザーへ変更

秒でデュアルとの違いが分かる
やはりbuild1259ならデュアルの方が良い。

ただ、シングルグラボだとbuild1259よりbuild1353の方が良い

つまり、build1259はデュアルグラボの音の傾向と相性が良いことが分かってきた
音数・情報量が多いのを上手く音像の内部の描写に使える感じ

グラボをRTX 3090デュアルライザーへ戻す

やっぱグラボすげぇわ
これは昨日の感覚からして「build1353はグラボ効いていない」でファイナルアンサーになりそう
→結果的にこの後検証をつづけてそうはならなかった

build1259だとデュアル→シングルの時もシングル→デュアルの時も秒で分かる

自分の耳に自信を取り戻してきた

しかし巷で誰もグラボが効かなくなったことに言及していないのはなぜ… ←効いているのでそらそうよ

2023.11.22

一昨日はbuild1259を再確認したので再度build1353に戻す

build1353で検証

processreaperのプロセスを消してみる

音が大きく変化する。
厚みが出て音数が増える。
帯域バランスも下支えが出る様になる
これはグラボが効いている時の様な音になったと言っても良いのでは
とは言えノイズ感は依然としてあり、build1259より多い
またbuild1353の傾向とこのグラボが効いた的な音質傾向にチグハグ感がある
これならbuild1259の方が総合的に良い

RAATServerのプロセスを消してみる

これはgenmiさんより音が変わるとの情報をいただき検証しました。深く御礼申し上げます。

processreaperを消した時とほぼ同じ傾向。グラボが効いている時と似た音傾向。
若干こっちの方がprocessreaperを消した時ノイズっぽいか?

実は一度RAATServerのプロセスを消してもすぐに復活する。でも音は大きく変わる。なぜ?

グラボをRTX 3090 デュアルライザーからシングルライザーへ変更

かなり良くなる
ノイズ感がかなり減る
やはり普通にbuild1353を使うならグラボ1枚の方が断然良い。このbuildではノイズが少ないのがかなり有利に働く。
普通に聞く時よりもprocessreaperを消してグラボを効かせたような時の方がノイズが多くなる。ノイズが多くなるというか音の傾向が変わる感じか。より音像の内部の表情が拡張され透けて見える様になる感じ。

グラボをRTX 1660superシングルライザーへ変更

RTX 3090シングルライザーの時と大きな音の傾向は変わらない。
RTX 1660superの方がRTX 3090より若干ノイズ感が少ない
音像の厚みは中低域がやや落ちる
見通しがよくなる
SNが高くなる
細かい音が見えやすくなる
ディティールが見えやすくなる
深みが減りややあっさりした気がするが…(つまりbuild1324までより効果は減りつつもグラボは効いている感じ

processreaperのプロセスを消す

やはりグラボがより効くイメージの変化
中低域の厚みや質量感が増える
アタック感はやや埋もれる

RTX 1660superシングル直結へ変更

ノイズ感は結構上がる
細部がややアバウトに
ややビッグマウスに
build1353においてもライザーカードで接続するメリットは継続している。

RTX 3090シングルライザーに戻す

1660より細部はアバウト
明らかに量感や質量感が増えている。特に中低域
ただその分ローの反応がやや重くなる
表現力もやはり深みが出ている
音像の中の描写が丁寧

2023.11.26

前項の11/22の検証の後、またbuild1259に戻して数日聞いていた。
また検証できる時間が出来たので数日ぶりにbuild1353に戻す

RTX 3090デュアルライザー

やはり下が寂しい
ノイズっぽい
音数が少ない
音像がペラい
背景のSNは高い

RAATServerのプロセスを消す

主に中低域が充実する
帯域バランス的には良くなったが1353の見通しの良さのキャラクターとは合わない

processreaperのプロセスを消す

更に中低域が充実する。

build1259に戻す

音像の中の描写の充実度が違う。1259の方が大きく勝る。
音数が多い
見通しの良さは落ちる
充実感した下支え
背景のSNは落ちる
build1353に耳が慣れるとややモッサリ感
音数が多過ぎると感じる人も居そう

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この記事を書いた人

主にオーディオについて感じた事を書いています。
古いクラシックがメインですが、新旧ジャンル問わず音楽を楽しむスタイルです。

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