genmi邸訪問記(2023.12.21)

今回の記事では、明日(2024.6.8)約半年ぶりにgenmi邸にお伺いするということで、その予習がてら昨年12月に伺った時の印象を簡単ではあるが記しておく。genmiさんいつもありがとうございます。毎回色々な調整を行って音質を進化させてくるgenmiさんだが、果たして明日はどんな音楽を聴かせていただけるのだろうか。今から楽しみだ。

目次

genmiさんについて

genmiさんと私との付き合いはもう6年位になる。今は亡きphilewebコミュニティ繋がりでお会いしてから年に1-2回は定期的にお声かけいただき訪問させていただいている。とてもオーディオに熱心な方だが、頻繁に機器を変えるタイプではなく、使いこなしやルームチューニングで詰めて行くタイプ。あの手この手でエネルギッシュに音をチューニングされる様から私も毎回刺激をいただいて帰っている。

6年前に最初に訪問した時からはシステムの音も大きく進化されており、その時々で紆余曲折はあるものの、常に音のベースは仲間内で「genmiサウンド」と呼ばれる高域を中心に攻めた積極的な音作りで一貫しておられる。そのベースを持ちながらよりバランスが良く自然で普遍的な方向に進化されているのが長期スパンでの私からの印象になる。

好まれる音楽はボーカルものとライブものが中心で熱く情感に満ちたヒューマンな音楽性があるものだ。ジャンルはPopsとジャズ系が中心でたまに(私に配慮してかもしれないが)クラシックも織り交ぜられる。

現在はphil-M Communityの方に在籍しておられ、時折オフ会の記事を中心にオーディオ活動について投稿しておられる。

とまぁ前置きはこのくらいにしておいて、当日のgenmiさんのシステムの紹介に移りたい。

当日のgenmiさんシステム構成

MFPC Fomula

ifi ZEN DAC Signature V2 (New!)

Octave V70se + Super Black Box

B&W 805SD

genmiさんと言えばB&W 805SDでかれこれもう10年位は使用されているように思う。B&Wはその後D3, D4と代を重ねたが、genmiさんにお聞きするとこのSD時代の音がお好きとのことで変えるつもりはないというお話を以前されていたことを記憶している。確かにB&WはD3, D4でより癖の少ない洗練された音質になったが、SDまでのケブラーコーン時代のやや癖のある音質ベースで使いこなしてこそ自分の音が出るというのは私もなるほどそういう方法論もあると頷ける所だ。

その805をドライブするのはこれまた不動のOctave V70seでそれにオプションのSuper Black boxを合わせておられる。そしてDACはここ2~3年はChord Hugo 2でこれまた不動。そしてトランスポートはMFPCでその時々でアップグレードしていき現在は私と同じFomulaバージョンを使用されている。

この様にここ2~3年は不動であったシステム構成に今回動きが出た。DACの変更である。

Chord Hugo 2 → ifi ZEN DAC Signature V2

このDACの変更がどうシステムの音に効いてくるのだろうか。

その他色々と変更されており、

  • V70seの真空管をKT90からEL34に変更
  • ウェルデルタを2段に追加
  • スピーカーセッティングを変更。広げて前に出した

あたりが変更項目とのこと。ここまでの大きな変更は久々なので興味深々ワクワクしながらオフ会を開始することとなった。

2023.12.21 genmi邸オフ会での印象

一言自然。前述した様に、これまでも大きなスパンでは徐々にバランスが良く自然で普遍的な方向へと進化されてきたが、ここでグッとその普遍性のエリア内に入った様に感じる。これにはDACの変更が結構効いている印象。毎回オフ会の後に感想戦で飲みながらgenmiさんにお話していたが()、やはりChord Hugo2の音質は普遍性という観点からは遠く独特の世界観を持つDACである。毎回その世界観の良さを感じつつも音源によっては少なからぬ違和感を感じて来たのだが、ついにHugo2に別れを告げた今回はどの音源を聴いてもあるべき鳴らし方の範疇に入っている様に感じた。これは個人的には大きな進化であると思う

私のオーディオの交友関係が流派的にたまたまそうであるのかもしれないが、オーディオを長年やっておられると付き合いのある皆さんが徐々に一つの領域に収束して来ていることを最近とみに感じる。その収束していく領域こそが普遍性の領域。それぞれの好み云々は当然あれど、その好み以前の土台として普遍性のあるシステムを構築するという方向性にみんながなって来ているのはまさにそこがオーディオの勘所だということを暗に示していると思うのだ。

脱線したので話をgenmiシステムの印象に戻すと、その普遍性の他には、情報量が上がり、音場の広がりが広くなった。ここもDACを変更したことで素直に音が出てそれが空間に素直に流れている様に感じた。

そのほかメモには、

  • 見通しが良い
  • 締まりが良い。程よい弾力がありながら締まる。805SDでこれは聞いたことない
  • 前回までは重さで押さえつけすぎな感覚があったが綺麗に解決されている
  • 楽器の配置がとても良くわかる
  • 演奏で何をやっているのかか細かく分かる。演奏者のスキル差が分かりやすい
  • Jpopの距離感が抜群に合う。距離が近い分細かいバックのエフェクトがよく見える
  • これまでで1番私に近い方向性の音

とポジティブな記述が続く。総じて音が変なストレスなく素直に出ていて出た後の流れもとてもまともであることが分かる。ここまではDACの変更が良い方に作用している。

しかし、オーディオはそんなに甘くはない。当然前進した点があれば後退した点も出て来る

それでは僭越ながらネガ方面のメモを拾ってみよう

  • 音色が前回訪問時までの熱いものからやや冷たくなる
  • 赤色系の色のパレットが無い感じ。全体的に青色系に寄っている
  • 熱く楽しい感じから冷静に。リッチな肉声感が良かったのだがそれがなくなる。やや私の持つgenmiさんのイメージと違う
  • 金管の艶感があまりない
  • 声の艶感が乏しい。粉っぽい質感
  • うるおいが乏しい、ややパサつく
  • ギターの爪弾く立ち上がりが良い。アタック感が出ている
  • とはいえやや芯の音が勝ち気味で硬さを感じさせる
  • ドラムの皮の張りが良すぎる。たわみ感や響きがあまり出ていない
  • コントラバスの立ち上がりがとても早い
  • その分低域のキックドラムの響きを抑制してデッドな鳴り方になっている
  • ピアノの左手の音階の見える感が高い
  • ヴァイオリンとピアノは基音がち。倍音や響きが広がっていきにくい
  • 上流の情報量についていってない。情報密度が粗い

今回一番驚いたのが、私がここ2~3年でのgenmiサウンドの象徴だと感じていた情熱的でヒューマンな音色ボーカルのリッチな肉声感が今回はほぼ感じられなかったこと。これこそがまさに前回までのDACのChord Hugo2の世界観の正の面である。Hugo2は音色が良く暖かで陽の気に満ちている。これがgenmiさんがメインで聴かれるボーカルものやライブものにとてもマッチしていて魅力的だったのだ。言い換えると、こういうジャンルのあるべき再生の文脈においてHugo2はバフをかけており、大きく音源の魅力度を底上げしてくれていたのだ。

しかし、今回Hugo2からZEN DAC Signature V2に変更することによりそのバフが消滅してしまった。多くの項目でまっとうな鳴り方になったものの音源とシステムなりの音になり、バフがかかっていたジャンルでは魅力度が減退した。という図式になっているように感じた。

上記のメモの最後にも書いてある様に上流のMFPC Fomulaが出す情報量にZEN DAC Signature V2がついていけておらずそこで情報量が減ってしまっている。しかしその下流の805はZEN DACよりも多い情報を出せてしまう。結果、ZEN DACで減った情報による瑕疵がチラホラと見えてしまっているというのが現状の様に感じる。

ここがオーディオの難しい所で、Hugo2からZEN DAC Signature V2に変更することにより明らかに多くの項目で真っ当な鳴らし方になったものの、真っ当であるからこそ機器の自力が誤魔化しなく問われる状況になってしまっており、ZEN DAC Signature V2の持つ性能なりの音になってしまっている。

むしろ以前のHugo2の方が独自の世界観であるがゆえに色々と誤魔化しが効いていて、うまく瑕疵に気づかずそれっぽく成立しているかのように感じられる所があった。

さて、この状況からどう動いていくのか?ここが正念場であるように感じる。この普遍性の方向性で地道にクオリティを上げて行く道に行くのか、それともHugo2ほどではないにせよある程度世界観で誤魔化す道に行くのか。前者は結構ないばらの道が予想される。だが私はそちらの方にgenmiさんが進んで行かれることを勝手ながら期待している。さて、明日のオフ会ではどんな音楽が待っているだろうか。

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この記事を書いた人

主にオーディオについて感じた事を書いています。
古いクラシックがメインですが、新旧ジャンル問わず音楽を楽しむスタイルです。

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