今回の記事ではDan Clark Audio Stealthをショップで試聴した印象を書いていきたい。試聴の目的は自分のシステムに導入するヘッドホンの選定。試聴システムにMSBのハイエンドDACとHPAを使用して本気で聴き込んだ。
試聴構成
試聴日:2022年9月初旬
試聴場所:中野の某ショップ
DELA N1A
MSB Discrete DAC plus
MSB Premier Headphone Amplifier
純正ケーブルでシングル接続
Dan Clark Audio Stealth or Audeze LCD-5(比較のため)
試聴ではMSBのハイエンドDACとHPAの組み合わせを使わせていただいた。
試聴環境による音への影響を把握するため、総合的に穴が少なく性能も高いという事で個人的にリファレンス的に扱っているAudeze LCD-5とも比較しつつ試聴した。
余談だが試聴開始から30分程度はヘッドホンかDACかアンプが本調子ではなかった様で、時間経過後に聞いて修正した感想は取り消し線を引いている。
音質以外
装着感は悪くないが長時間だと頭頂部に2つある押さえが気になりそう。側圧はちょうど良い。個人的にAudeze LCD-5より装着感は良いと感じる。
遮音性はそこそこ。普通に店内の音楽が聞こえる
能率が低い。ボリュームを取りにくい。MSB Discrete DAC Plusの表記で80-90あたり
音質まとめ
一聴して総合的に自然な領域にある。大外しはしていない感じ。
背景が静か。多分ヘッドホンでは経験上一番
音色はさほどかなり違和感ない。ヘッドホンでは経験上一番を争うほどに優秀
音色は暖かい(押し引きがヌルいのもそう感じる原因か)
音の線はやや太め
エッジは絶対に立てない肌理の細かさがややアバウト細かい所を単純化してる
→時間経過により解消、ディティールを殊更ひけらかす感じはないが値段相応のレベルは十分ある
総合的にかなり聞きやすい。嫌な音を出さない。
レンジは高低共にそれなり。広くはない
倍音は少なめ
響きも少なめ。ややドライ
響きに独特なものが乗る
音がかなり近い
高域・中域と比較して低域がややボヤける
音場が魚眼レンズみたいな広がり方
音源別雑感
・エドシーラン
アコースティック楽器から空間に響いていく空気感が上手く表現されていない
・Zedd
EDMの押し引きへの追随性が低い。かなりもたつきダブつく感覚さえある。何か変
特に止まる方が何かお釣りが出る
・Infected mushroom
高速について来れずブヨブヨする
・クレンペラーオケの解像度はややアバウトで細かい描き分けが出来ておらず各パートの中身まで見えない。全体で捉える感じ
→時間経過で解消。必要十分に見えるように。かつ分離感が過剰でもなくハーモニーも保っている。好印象。
ホール感は乏しい
音場は左右泣き別れ感
・ヒラリー・ハーン高域の伸びが微妙。ヴァイオリンの音が渋い
→時間経過によりまともな範疇に
・エスカフローネ
中央が薄くとうない定位の左右が繋がらない
ホールのあまり響きが出てない
・薔薇の騎士
オペラでは場の空気感が出ないので同じ空間上に位置する感覚が出ない
・ラファウ・ブレハッチ
ピアノの冷たい音が出ない。全てが膜に包まれてかつ丸められている感じ
・ジェームズブレイク
言うほど低いところまで出ていない
感覚30くらいかなー
・エヴァ・キャシディ
拍手の粒がやや大きい
会場の響きがあまり出てない
ハスキーさがあまり出ていない
マイクの歪みも出てない
テープのヒス音も出てない
中域中心でモヤッとしてる
あとがき
音色の良さ(妥当性)ならヘッドホンではHiFiMAN SUSVARAと最強を争える。分かっていたがこの観点でのAudeze LCD-5の微妙さが改めて浮き彫りになった。
背景の静けさはヘッドホン最強。
代わりに倍音があまり出ないし、場の響きも寂しい。削っているというか出てこない感覚。
マイクロダイナミクスはなかなか。ちゃんとDACとHPAのレベルに追随出来ている。まだ上のレベルまで追随して行けそうな感触。
レンジは高低共にそれなり。どちらかと言うと低域が微妙なのが気になる。結果、中域メインに聞こえる。それが良い面にも悪い面にも出ている。
音場は微妙。密閉型だから仕方ないけど左右泣き別れがちなのは気になる。
最大の欠点は押し引き(トランジェント)の悪さ。正直EDMは聞くに耐えない。高速の押し引きでは全く追随出来ずブヨブヨで変な笑いが出るほど。(ちなみに環境起因を疑ってLCD-5でも聞いたがStealthのような事はなかった)
色々と気になる所があるが、個人的にまともな音色・基本性能・バランスのヘッドホンを聞いたことがない密閉型でこの音が出せているのは素晴らしい設計だと感じる。
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