Goldmund THA2 (Telos Headphone Amplifier 2) 試聴レビュー

今回の記事では、以前から気になっていたハイエンドヘッドホンアンプGoldmund THA2 (Telos Headphone Amplifier 2)を試聴させていただいたので、簡単だがその感想を記載する

Goldmund THA2について
  • 発売日: 2015.12.1
  • 価格: 2,138,400円(税込)
  • 前作THA無印(2014.11月発売も約1年でディスコン…)との1番の違いはDSPへのジークフリートリンキッシュモードの搭載。このモードは頭内定位の解消が目的
  • 日本仕様では特別にトランスを1個増設し合計4個に、ゴム脚をTelos5000と同じ脚にアップグレードしている
  • 開発にはBeyerdynamic T1を使用。600Ωの高インピーダンスのヘッドホンでも鳴らし切ることを目指した
目次

音質まとめ

一言で言えばムンドの音。それが全て。
美音で響きの尾が引いてそれらが綾を紡いで行く。独特の美しい世界観を見せる。

音源忠実性は低いがムンドの解釈による音楽忠実性は高いため、その世界観に身を委ねれば意外なほど違和感は出ない。所謂ステレオタイプな「ハイエンドオーディオ」の文脈の音の作り方。この手のものはヘッドホンオーディオの世界では少ないので、一度は経験しておいて損はない

また、これだけで完結してしまうという点でもやはり「ハイエンドオーディオ」の文脈そのもの。もちろん環境を整えてやれば更に良くなるだろうが、この機器が単体で作り出すムンドの音で割となんとなかってしまう。合わせるヘッドホンさえ気をつければどこで聞いても安定した音が出る様に感じた。

ただし、組み合わせるヘッドホンには注意が必要。ムンドの響きをきちんと拾える高い情報量への対応力が要求される。Focal Utopia SGかそれに準ずる情報量追随性があるヘッドホンで聞いてやりたい。

また、最低限起きる(温まる)まで30分はかかる。出来れば1時間は待ちたい。そこからが本領を見せてくれる。

試聴環境

試聴はいつもの中野のショップさんで行った。いつもありがとうございます。

試聴システム

Silent Angel Z1

Telos Headphone Amplifier 2

Focal Utopia SG / YAMAHA YH-5000SE

試聴にはFocal Utopia SG / YAMAHA YH-5000SEの2機種を使用した。ただし、このインプレはUtopia SGで聞いたものをベースに書いている。ぶっちゃけYAMAHAではこの機器の能力は十全に見えなかった。

音質詳細

音数は少ない。多分DACとしての性能は現在から見ると低いのが見て取れる。だが、起きてくると音数の少なさをムンドの美音の響きが補ってくれるため(Utopia SGでは)違和感は少なくなる。これはこれであり

素の質感を一旦取っ払ってその上でムンドの音を乗せている。いや、「乗せている」のではなくムンドの音に「している」と言った方が適当。地金が見える様な乗せ方ではなく、元からムンドですが何か?みたいな地金があった事実すらなかったかの様な生粋の質感。しかし嫌味なほどの濃口ではないし飽きも来にくい。

音に粘りがない
→起きてくるとムンド臭がプラスされてこれはこれで不足は感じなくなる。

全体的に帯域バランスはハイ上がり。中低域以下は少ない。極端なハイ上がりではないが音楽の下支えが乏しい。
→ジークフリートリンキッシュモードではこの問題が解決する。

サラッとする。音楽が感情に引っかかる手がかりや糸口がどこまでもない。涼しい顔でなんでも綺麗にこなす優等生的な感じ。
→起きてくるとムンド臭が増えてクールさの中に香り立つ妖しさの様なものが出てくる。これはこれで味わい深いしなぜか音源と連動している感じもするので完全に作られたものにも感じない。
また、ジークフリートリンキッシュモードでも解決する。

情報量はかなり少ない。
それがスッキリとしたムンドの音と合ってはいるしこれだけ聞いていればポップスや打ち込みなら不思議とそれほど不足は感じない。
→これも起きてくるとムンドの響き(ry

アコースティック系はもはやムンドで再解釈したもの。元の楽器とは違うもの。倍音とかテクスチャとかそんなの関係ねぇ。でもムンドの世界の中でのヴァイオリンの音やピアノの音になっていて身を委ねればこれはこれでアリと思わせる。

クロックはかなりしょぼい。音飛びがかなり少ない。粒立ちもムンドの音に上書きされている。音源に入っている本来の音の動きを楽しむ様な方向性ではない。

さほど駆動力感は感じさせない。
→普通のアンプと気配は違うがちゃんと駆動力はある。力感をもって振動板をガッチリグリップしてドライブする感じではないがきっちりと動かしている。アナログアンプとは違うしデジアンっぽくもない。スッと仕事をこなす独特の気配。メカニカルグラウンディングの効果で振動によるお釣りが出ていないからか?

音場は起きてくるときっちり出る。頭内定位感は希薄でスピーカーを聴く人間でも違和感は少ない。ムンドの響きが広く広がって行く。奥域の気配も音源の素のものではないがそれにニアリーな形でムンドの音として出ている。謎技術。

ジークフリートリンキッシュモード

前面の2つあるスイッチのうち左側をポチッと下にするとこのモードに入る。ノイズもなく再生途中でも切れ目なく変更できる。

中域低域モリモリで実在感もアップ。帯域バランスはスタンダードモードより好ましい。
熱い表現にシフトする
太筆書き
中低域以下が前にせり出してくる感じ
音像の中心に自分が吸い込まれる様な感じで前方から周囲に音が回り込んでくる

その他補足

今回の環境(USB接続)では音源の頭1-2秒が欠ける。

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この記事を書いた人

主にオーディオについて感じた事を書いています。
古いクラシックがメインですが、新旧ジャンル問わず音楽を楽しむスタイルです。

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