今回の記事はまたソラマメ邸にお邪魔して色々と聴いてきたのでその印象についてざっくり書きたい。具体的には、電源タップの口の位置での音質差、Roon RAAT vs LINN Stremamingの音質比較、そして今回の目玉としてTaiko Audio Extreme Routerの音質について記す。ソラマメさん、いつも貴重な機会をいただきありがとうございます。
電源タップの位置での音質差
さて、まずは今回最初のお題、電源タップの口の位置での音質差について記す。ソラマメ邸には前回伺ってから約4カ月ぶりになる。前回訪問時についてもブログに記載しているのでご興味がある方は下記をご参照願いたい。
前回訪問時はKlimax DSM/3にUTOPIK電源のアップグレードが入り、更にTaiko Audio Extreme Switchを入れた段階で、その前のラックの導入からの施策がうまくハマって素晴らしい音質になったのだった。
今日のネタとしてRAAT vs LINN StreamingとTaiko Routerが控えているので、初期状態は前回と同じ状態に合わせてLINN StreamingかつTaiko Routerなしでオフ会を開始した。
まずは最初に前回との違いを確認がてらソラマメさんの選曲で色々と聴かせていただく。
前回に感じていた大きくはとても素晴らしい音質だけど細部の詰めがまだまだ、という段階からきっちりと細部を詰めてきており、ちょっとしたピークやチグハグ感が消えている。この辺りの調整能力は流石。
その中で目を引いたのが低域のバランスと押し出し。ここは過去何回もお伺いしている中で初めて低域がやや主張しているのを感じた。でもソラマメさんの好みのバランスはこうではないはずなので、多分一時的にLINN StreamingかつTaiko Routerなしに変えてバランスが崩れているのかなと予想。
ここで「試しに電源の取り方を元に戻してみますか」というソラマメさん。せっかくなので戻してもらうことに。
なんということでしょう。以前の低域の主張が控え目のクールなソラマメサウンドにだいたい戻りましたw
なじむ 実に! なじむぞ フハハハハハ という気持ちになりつつ聞いていたが、割とすぐにこの以前のつなぎ方では限界が見えてくる。それはまさに駆動力・制動力的な所で、それによる音飛びや低域の階調の見え方が明らかに今回の変更後からは落ちる。
つまり、タップの根元の口にパワーアンプを繋いだ時の方が根元から3口目にパワーアンプを繋いだ時よりもウーハーの駆動力・制動力が上がり、それによってダイナミクス方面が上がり、音飛びも良くなり、低域の階調も良く見える様になった。前述した様にこの時点では多少オーナーの好みにコントロールできていないものの、明らかにこちらの方が総合的に音質レベルは上。こちらをベースに調整した方が到達点は上になるだろうという意見でソラマメさんとも考えが一致した。
結論、タップからの電源の取り方はこのままで、根元にパワーアンプとすることとした。この件は大電流を使う機器の方をタップ根元に繋いだ方が良いということと理解した。
Roon RAAT vs LINN Streaming 音質比較
続いてはRoon RAATとLINN Streamingとの音質比較のお題について記す。
このお題は私が以前から「Klimax DSM/3は音色や質感は素晴らしいけどクロックがいまいち」と放言していたことに対し、ソラマメさんから問題の切り分けのために出されたお題だ。要は私がその音を聴いて「クロックが悪い」と感じているのはKlimax DSM/3のクロック起因だけではなく、伝送方法も原因の一つなのでは?という問いかけである。
どうもKlimax DSM/3はLinn StreamingとRAATが選べて、RAATはクロックの同期ができるから私の感じる弱点が改善されるかもということらしい。
ということで、早速それまでのLINN Streaming からRAATに変更してもらう。
ある程度は予想していたものの、思っていたより両者に違いがあった。RAATにした場合の音質について下にまとめてみた。
Pros
- 立ち上がりが早くなる
- 定位の位置がビシッと決まる
- 音場が後方へ下がりかつ広がる
- 音像の良い意味での曖昧さが少なくなりディティールが出る
Cons
- 表現がやや硬質になる(これが本来と思うが)
- アバウトがゆえの音像の前に来る方向の立体感が無くなる
私のこれまでの経験値からの感覚で言うと、明らかにRAATの方が正解の方向の音質になる。そしてその音質の向上はまさにクロックが良くなった時のような音質である。(もしくはジッターが減った、レイテンシーが減った時)
これを聴いてしまうと、これまで私が放言していた「Klimax DSM/3は音色や質感は素晴らしいけどクロックがいまいち」という発言は取り下げざるを得ない。Klimax DSM/3さん、どうもすみませんでした。あなたのクロックは弱くはないと思います。(強くもないと思いますが)これまで感じていた悪さの原因はLINN Streamingさんでした。。。というかRAATさんが優秀と言った方が適当な気がする。
そして、このことから分かったことがもう一つ、LINNの所謂「音楽性」を感じさせる音質は結局は諸々の精度を落とすことでそう感じさせている所も少なくないということだ。このLINN Streamingも然り、前回のUTOPIKにする前の電源も然り。言い方は厳しいがその「音楽性」は正攻法のみで獲得したものではなく、ある程度の基礎性能を手放すことで獲得していたものだった。
果たしてどちらが良いのかは私が断定することではないのでここでは触れないが、このことは大変示唆に富むことだと感じる。高性能にすると音楽性がなくなるという単純な話ではなく、この様な逃げの方法でなく基礎性能をあげつつ音楽性をスポイルしない様にするにはどうすれば良いかという話。実はこの一つの答えがこの記事の最後の方で示されたのだが。。。
さて、話をオフ会に戻すと、ここでも私とソラマメさんの意見が一致し、RAATの方が総合的に音質レベルが上でこちらをベースに調整した方が到達点は上になるだろうということで、RAATを採用することとした。
Taiko Audio Extreme Router 試聴レビュー
それでは最後のお題。真打登場のTaiko Audio Extreme Routerの音質について記す。なお、このTaiko Routerはショップさんからソラマメさんに貸出試聴をされていたものでまだ導入されたものではない。ショップさん間接的に試聴させていただきありがとうございます。
では最後にTaiko Routerを入れましょうということで聴き始めた。秒で真顔になった。Taiko Routerを入れた場合の音質を下にまとめる。
Pros
- 弱音が綺麗に拾える様になる。異常なレベルで拾ってくる
- 音の細かいグラデーションが異常に出るようになる
- 音の描写が丁寧
- 音触のリアリティがとても上がる
- 雰囲気成分がとても出る
Cons
- 描写が丁寧なので雑なキレ感は無くなる。でもこっちが正しい(これまでがノイズによるキレ感が出ていただけ)
一応Consも書いたが実質は悪くなった所はこの時では感知できなかった。良いことだらけで笑ってしまう。
前に入れたTaiko Switchは主に時間軸情報と位置情報のマッピングの精緻化がその主な効果だったが、今回のTaiko Routerは音像の質感や微細情報の大幅な向上がその効果と感じた。両方ともノイズを低減し、伝送精度を上げることが技術的な向上だと思うが、こうも音に対する影響が異なるのはとても不思議で面白い。
ノイズの低減と書いたが、SwitchよりRouterの方がその効果が大きい様に直観的に感じる。これまでノイズによって汚されていた微細な音の情報が綺麗に出る様になったことで質感やディティールが向上し、これまで聴いたことが無いレベルのリアリティを獲得するに至っている。
まだ試していないが、このRouterはSwitchの様な特殊な効き方ではないことから、Taiko Audio製のオーディオPCでなくともほぼ同じ効果が出るのではないかと期待している。このTaiko Routerは150万超というプライスタグが付いているが、この音質の向上具合を聴いてしまうと高くないと感じてしまう。それほどにその音質への効果は高く、また他では得られないものだと感じた。
返す返すもこのTaiko Routerを入れた音質は本当に素晴らしい。結局は細部。音源に込められた微細情報をどこまで忠実に再現できるかがオーディオにおける音楽再生のキモなのだと思い知らされた。「神は細部に宿る」まさにこの通りの地点にまでオーディオは到達してきている。
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