GUSTARD A26 所有レビュー

目次

はじめに

少し前にnoteに書いた通り、

SMSL D400EX を導入し使用してみて、搭載されている旭化成の新型チップ(AK4499EX + AK4191))の素性の良さと可能性を感じた。またそれと同時にスイッチング電源や作りのチープさによる欠点も感じた。

そこで同じチップを使用しつつ、リニア電源でかつ中華DACとしては物量を投入されているGUSTARD A26に白羽の矢を立て導入することにした。

お試しというより、割とガチでサブDACの位置付けでメインのMPD-8を部分的に凌駕することも期待していたのだが…

聴取システム

リスニングは拙宅のシステムで実施した。詳しくはD400EXのnoteを参照。(折を見て自分のシステム紹介のnoteも今後書きたい)

まとめ

結論から言うと、実売20万前後という価格を考えても残念な音質だった。この機器ではD400EXで感じたチップの素性の良さや可能性をスポイルしてしまっており、このチップである必要性を感じない音になってしまっている。(むしろこの音作りなら4499の方が音が映えやすく多くの人に好印象を持たれやすそう)

※ここでの音質についてはデフォルトのフィルターでの音を基本として書いている。各フィルターの音質については後述するのでそこを参照。
その他設定はATTはオフ、SoundはMonitoring、クロックは内蔵、電源は110V設定で供給は100V。

Pros

D400EXで感じた問題点のうち、スイッチング電源による高域の酷いノイズ感は解決されており特に感じない。また他のDACに与えるノイズによる汚染も無い。

これもD400EXの欠点であったプアな作りによる厚みのなさ量感のなさもやや改善されている。(そめでもまだ薄っぺらさや質感のプアさは依然としてある)

Cons

まず過渡応答がすこぶる悪い。この悪さがこの機種の音質を支配しており、多くの項目に渡って悪い影響を与えている。

具体的にその悪影響を列挙すると、音が潰れ、音が寝て、粒立ちという概念すらなく、律速した感覚を常にもたらし、リズム感が悪く転けそうになり、音飛びが悪く平面的になり、空気感が素直に出ず、空間のグリップ感が乏しい。この様に質感、音色、音触、リズム、空間全てに過渡応答の悪さが悪影響をもたらしている。

次にメーカーによる音作り(音のコントロール)の微妙さが挙げられる。端的に言って逃げの音作りであり、チップの性能を引き出そうというよりも上手く丸めて聞きやすくしてやろうとする意図が透けて見える。

この音作りによってD400EXで感じたチップの素性の良さが表面に現れて来ない。D400EXで感じた可能性を見事にスポイルしてしまっている。

具体的にはD400EXでDACチップのポテンシャルに感じた表現の反応の速さ軽さ、細部の描写の精確性の高さ、楽器の音色の忠実性の高さ、音色の追随性の良さ、音場の前後感を代表とした忠実性の高さ、これらが重いヌマッとしたオブラートの下に埋もれて見えにくくなっている。

価格帯が価格帯であるので、この機器を叩く意図は毛頭ないのだが、D400EXで見たAK新型DACチップの素性の良さと可能性というキラメキがここまで潰されてしまっているのを見るに忍ばれず書いている次第であり、ご容赦いただきたい。

今回の経験でDACはチップも大切だが結局は料理の仕方(設計や実装、電源等)次第だという当たり前な事を改めて学ばせて貰った。

今回はDACチップの不完全性が従来より少なくなったからこそ使いこなしが難しく作りの差がモロに出ている気配も感じる。今後このチップの可能性を上手く昇華させてくれるメーカーが現れるのをじっくりと待ちたい。

おまけ

もし私がD400EXとA26のどちらをオススメするかと問われた場合、D400EXをオススメしたい。高域のノイズという大きなネガはあるものの、AKの新DACチップの見せる新しい未来が垣間見え、日々ドキドキしながら音楽が楽しめるDACだと感じている。

エージング

D400EXとは異なりエージングは必要。最初はスピーカーが壊れたかの様な音で徐々に各項目がまともになる。ただ上限は低く1日程度で頭打ち。それ以上の成長はなかった。

フィルター設定

1 Sharp roll off
デフォルト。
立ち上がりが遅い
潰れている
律速感
リズム感が転ける
倍音少ない
音像に妙な肉付き感
腐った肉
奥域と前後感は1番まとも
空間系の忠実度は1番高い

2 slow roll off
立ち上がりが少し改善
倍音が増えてまともな範疇に
高域がギザギザ
ノイズっぽい
腐った感は減退するも質感が雑

3 short delay sharp roll off
総合的に1番マシ
高域伸びる
倍音は一つ前と同じくらいある
一つ前よりやや律速感
一つ前の高域のギザギザ感は緩和
やや高域がうるさい
一つ前とほぼ同じ質感が雑
奥域と前後感は出るが定位位置に違和感。ちょっと空間が変

4 short delay slow roll off
あまり良くない
高域が発震してサチってる感じ
高域寄り
高域のノイズ多い

5 super slow roll off nos like
Nosっぽい
鮮度は高いが高域がうるさい
高域がギザギザ
全ての質感が雑
また腐った肉感が復活。でもデフォルトよりマシ

6 low dispersion short delay filter
これまでとは異質
妙な聞き味
響きが付加
これはこれで割と良いかも
でもエコーがかかった感じで変
前後の位置関係がおかしい
忠実性は1番低い

・まとめ
3番目が音的に1番まともだが空間的に少しおかしくなる。あちらを立てればこちらが立たないし、どれを選択してもしこりの様なものが残ってすっきりしない。

sound設定

・Listening
謎の響きと質感が付加
子供騙しの聞きやすさの付加
秒でデフォルトのMonitoring一択

音源毎の感想

2022.12.23

・ショル
高域伸びない。それに引っ張られて音色が全体的に微妙に変
音数少ない

・Steve Smith
ドラムを表現する情報量が少ない

・Alison Balsom
トランペットの音色は合う
でも伸びがないし真のトランペットの音色ではない。それっぽい音色がたまたま合ってるだけ

・qunka
音数少ない
音が来ない
もどかしい
もっさり

・alesso
相性は最悪
空間の動きがあまり見えない
駆動力はない。ヤバいほどに
情報量が全然出ていない

・Jesse cook : jeleo
色々もどかしい
情報量がマスクされてる感
上手く出てくれていない

・Jesse cook : mario takes a walk
やはりギターの音が間引かれてマスクされている感覚

・Roque Banos : el 7° dia
押し引きが遅い
もっさり
情報量少ない
ダイナミズムが乏しい。こじんまり

・Duplessy & Violins of the world :The good, the bad, the Ugly
空気感が安っぽい
最初より随分ヴェールが剥がれて来て透明感も感じる様になったがヴェールの下の安っぽく雑な質感も見えて来てアレ

・ショル グリーンスリーブス
表情が硬い。表現の滑らかさに欠ける
コクの様なものが乏しい
場の透明感は出て来た

2022.12.24

・Jesse cook : jaleo
色々とプア
音色の自在性がやや微妙
やはり駆動力がない。mpd-8よりも1,2段落ちるスケール感が小さい
音場空間も小さい
ダイナミズムも小さい

・Jesse cook 
音色がややくすむ
元気がない
色彩感の彩度が低い

・Roque Banos : el 7° dia
まったり。キレがない
立ち上がりが遅い

・Duplessy & Violins of the world :The good, the bad, the Ugly
全然音色の多彩さが出てない

2022.12.25

・alesso
相変わらず酷い
全く空間が蠢く様をグリップしていない
押し引きが酷すぎる
音の目の詰まり方がスカスカ
滑らかさが無い
深みがない

・日食なつこ
とてもピアノとは思えないナニカ。やはり過渡応答が酷いのでピアノらしい音が出ない。腐ったナニカ
上から下まで全てがダメ

・ship of dreams
ピアノのタッチが潰れている
音が全て寝ている。粒立ちという概念がない
ベターっとしている
やはり腐ってる

・ジムノペディ
全ての楽器が潰れてベターっとする
リズム感が悪い。転けそうになる
律速感

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この記事を書いた人

主にオーディオについて感じた事を書いています。
古いクラシックがメインですが、新旧ジャンル問わず音楽を楽しむスタイルです。

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