今回はZMFの現行フラグシップCaldera(カルデラ)をショップで試聴させていただいたレビューを記す。試聴はお馴染みの2カ所でさせていただいた。うちフジヤさんではメーカーから取り寄せていただき、良ければ導入するつもりの本気で試聴させていただいた。
2023.8.16 in eイヤホン
思いがけずeイヤホンにCalderaが来ていると聞いて試聴させていただいた。ありがとうございます。
試聴環境は最初はeイヤホンさんの環境、その後手持ちのShanling H7とEleven Audio Fomula Sの組み合わせに変更した。比較対象にみんな大好きHifiman SUSVARAさんを使用した。
Mac Book pro or Shanling H7
Sennheiser HDV 820 or Eleven Audio Fomula S
純正バランスケーブル
ZMF Caldera or Hifiman SUSVARA
肝心の試聴の感想だが・・・メモを取っていなかったか何かの拍子に上書きしてしまったかでなぜか現在手元に残っていないのでうろ覚えの記憶で書く。すみません。
同日に試聴したZMF Atrium ClosedやEleven Audio Fomula Sのメモは残ってるのになぜ。。。
ざっくり書くと、最初のMBP→HDV 820システムではCalderaは駆動も出来ずかつ細かい所は何も分からずで判断不能。ということで信用できるH7と駆動力だけはあると聞くFomula Sとの組み合わせに変更。現場の店員氏は分かっておられますが、eイヤさんはこのクラスのヘッドホンを置くのならもう少し試聴環境を整えた方が良いと思いますよ?下手するとヘッドホンのネガキャンにしかならない。
H7 + Fomula Sのコンビでは定評通りFomula Sの駆動力が高くCalderaもきちんと駆動出来ている感触だった。さらに比較対象のSUSVARAも駆動出来ていたと言っても良いと思う。なかなかやるな、Fomula S!
ただ、Fomula Sはちょっと厳しい所があり、このレベルのヘッドホンの能力を細部まで明らかにする様な鳴らし方は出来なかった。
この日分かったことは、ヘッドホン界でも1,2を争うレベルでとてもナチュラルな音色と質感であること、それなりに鳴らしにくく駆動力のあるヘッドホンアンプと組み合わせる必要があること、細部の描写は可能性は感じるがこの項目でトップのFocal Utopia SGとタメを張るレベルまでは行かなさそうだということ、あたりだった。
既にこの時はフジヤさんにCalderaの試聴機取り寄せをお願いしていたこともあり、MSBワクワクセットと組み合わせて聴くのが俄然楽しみになった。
2023.8.31 in Fujiya Avic
フジヤエービックさんで試聴。いつもありがとうございます。
試聴環境はいつものフジヤMSBワクワクセットとちょっとだけdCS Lina system
比較対象にFocal Utopia SGを使用した。
Silent Angel Z1
MSB Discrete DAC plus or dCS Lina System
MSB Premier Headphone Amplifier
純正バランスケーブル
ZMF Caldera or Focal Utopia SG
ボリュームはDiscrete DACの表示で70ちょい。SGのボリュームの+8程度。感度はまあ普通。
音質
音色はかなりニュートラルというかナチュラル。アコースティック楽器や人の肉声の妥当性は高い。
SGよりも色付けは感じない。ただやや乾いた感じはある。
Calderaはある程度束で纏まって刻む感じ。パシッとした直線的な面で押すアタック感は得意。
対するSGは超細かくて滑らか。ヌルヌル。角は丸める
Calderaは低域を始めとして音の締まりが良い。
対するSGの方が角が丸まって微細に表現するため締まり感は出にくい。
Calderaは重量感のある低域。
ただこの項目最強クラスの手持ちのAbyss Dianaレベルからは2-3段階落ちる感触。
CalderaはSGに比べて音像が束になる。音の描写はやや太い。
Calderaは情報量への追随性は思ったより高くない。
SGが頂点で次点のDCA Stealthあたりよりも更に一段落ちる位置付け。
SGと比較すると音像の中身の描写の微細度やグラデーションの細やかさは倍半分くらい。
SGの方が滑らかで細かく表現する。
Calderaは細部の描写力はあと一歩。すごく細かいところが出ない。それが出ないが故の良さもある。
Calderaは微細な情報の質量が重い。反応がやや重く悪い。
Calderaは最低域が沈み込まない。
SGの方が沈む。
この項目最強クラスのAbyss Dianaからは2-3段階落ちる
Calderaは低域の出る位置が下にならず全て中央の同位置から出る。
SGの方が低域はより下から出る。
この項目最強クラスのDianaは更に下から出る。腹に響く低域が出る。
押し引きの追随性もSGの方がやや上。
Calderaはもたつくわけではないが微妙な付帯音が付いていて微妙に反応が重く感じる。
Calderaは硬いというか表現の自在性がやや落ちる。ある傾向に偏るのではなく可動領域が狭い感じ。
音場、定位とも違和感は無い。音場空間は広くもなく狭くもなく。近すぎもしないし遠くもない。ただ前後はあまり出ない。定位はピンポイントでバッチバチというわけでは無いが音像の纏まりが良いぶんわかりやすい。
まとめ
前回のeイヤではどこまで行くのか楽しみだったが、今日は意外と底が浅かったなという感想。
情報量への追随性はエージングでもうちょい伸びそうではあるが、それでもDCA Stealthあたりの次点までには及ばなさそう。
結論としては、全てにおいて穴は少なく引っかかる所もほぼないしナチュラルなので1本で何でも聞けて音楽を楽しむには最適。スピーカーで言うと性能が高くなったハーベスみたいな感じ。
悪環境でも安定してそれなりに良い音を出せるので評価されやすいだろうし、「これが良い音」というのがヘッドホン界隈で共通認識になるのはとても良い。eイヤさんは是非常設展示して欲しい。もちろんフジヤさんもお願いします。
ただ基礎性能はプライスタグからはやや寂しい。オーディオを追求するのであれば途中でもどかしくなるレベル。
従って自分がどこまでオーディオ性能を追求するのかを見極めた上で手を出すべき機材だと言える。自分の歩んでいく範囲を見極めて導入出来た人にとっては終着点と言えるヘッドホンだと思う。
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